6518人が本棚に入れています
本棚を移動
/173ページ
車を走らせて直ぐに、優香からメッセージが届いた。
"凛太郎、今どこ?"
おっ、優香だ。
あぁ〜運転中だけどな、パパッと送るか…。
"今、車で帰る途中!知り合いを送って行く。"
ポチッと。
ちょっと説明不足だったか?もう送ってしまったから仕方ない…。
まぁ後で会うんだから、いいかな。
ピロロン♪
麻里奈ちゃんのスマホが鳴った。
彼女も、素早く文字を打ち込んでいる。
ピロロン♪と、俺のスマホがメッセージを知らせる。
"私は8時頃にならないと終わらない。
じゃあ、またね。"
よし、8時だな!その前に行かないと。
「麻里奈ちゃん、その後どう? 少しは落ち着いた?
いや、そんな簡単なもんじゃねーよな。
事件が解決したって、心の傷はなかなか癒えないもんだよな、すまん。」
俺の言葉に麻里奈ちゃんが固まっている。
そして暫くしてから、ポツリと言った。
「毎晩、同じ夢を見るんです…、あの女の人の夢を。
私に向けられたナイフ…、中西さんが刺されたあの瞬間で…いつも目が覚めるんです。」
俺は真横にいる麻里奈ちゃんの、青ざめた顔をチラリと見た。
「麻里奈ちゃん?」
「あぁ、ゴメンなさい。
こんなこと言ったって、自分で乗り越えるしか無いですよね。誰にもまだ話してないんです。
優香も忙しそうだったから、まだ話せてないんですけど…。
なんで私、凛太郎さんにこんなこと言っちゃってるんだろ?気にしないでくださいね。
そのうち治まりますから、たぶん。」
そう言って弱々しく笑いながらも、気丈に振る舞おうとする彼女が痛々しかった。
彼女の心の傷の深さを、改めて知った気がした。
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
運転中のスマホ操作は違反です。(>人<;)
絶対にマネしないでね!
最初のコメントを投稿しよう!