彼の夢と二人の未来

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慣れた様子で、スッとこたつに入る凛太郎。 そこはもう、彼の指定席だ。 「早かったね、何か飲む?」 「うん、水でいいよ。ちょっと飲み過ぎた。」 凛太郎は、ふぅ〜っと大きなため息をついて、私に笑ってみせた。 疲れてるのかな? 「ね、大賞ってどんなの? 受賞式はいつ?」 水を手渡しながら、聞いてみた。 凛太郎は少し考えてから、言葉を選ぶように私に説明してくれた。 「かなり前に応募したコンクール。 優香と知り合うよりも前だったな…。 海外からの応募もあるぐらい有名なコンクールで、入賞すれば将来的に有利なのは間違いない……、だけど…。」 「ん? だけど何?」 「うん、…だけど…、受賞できるなんて思ってもなかったから、驚いた! それよりさ、クリスマスはどうする? 優香も、もちろん仕事だよな?  今から人気のレストランを予約とか、無理かもしれないなぁ〜、しくじった…。」 「いいよ、そんなの。 家でやろうよ、クリスマス! 料理とかも、前日から仕込んでおいたら問題無いから。 うち? それとも凛太郎のマンション?  どっちにする?」 「どっちでもいいぜ?」 「じゃあ、ここでいい? 美味しい料理つくるから、期待しててね?」 「うん、楽しみだ…。」 そう言って、凛太郎は私の唇に触れるだけのキスをした。 それだけで幸せ…。 だけど、欲張りな私はもっともっと凛太郎を感じたくて。 少し喉を鳴らして甘えた声を漏らすと、凛太郎はニヤリと笑って、私をゆっくりと押し倒した。 そして、私の目を見つめて言った。 「優香、愛してる…、誰よりも…だ。」 凛太郎、嬉し過ぎる…。 鼻の奥がツンっとなって、涙がぽろりと零れ落ちた。優しい笑みを浮かべながら、その雫の一つ一つを彼が拭っていく。 「コラ!優香、泣くなよ…」 笑いながら凛太郎が囁く。 「私も…愛してる…。」 「うん、それでいい。」 私は凛太郎の肩に腕まわして、ギュッとしがみついた。 大好き、凛太郎だけを愛してる。 どこにも行かないで、側にいて欲しい。 ずっとずっと、二人でいれたらいいね…。
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