【番外編】母になる①

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私の目の前に現れたのは、柔かに微笑む美しい女性、義姉の葉月さんだ。神様、ありがとう! 「お、お姉さんっ、嬉しい!ちょうど良いところに来てくれました〜。」 安心した私はお腹を抱え込んだまま、その場にへなへなと座り込んだ。 「どうしたの? 優香ちゃん! 大丈夫? もしかして陣痛が来ちゃったとか?」 コクコクと頷く私の背中を摩りながら、葉月さんは私を励ましてくれる。 「来てみて良かった!凛太郎から偶には様子を見に行ってくれって、言われてたのよ。 大丈夫よ、初産ですもの。そんなに直ぐに産まれたりしないからね。 ふふっ、そう簡単に産まれてくれないものなのよね〜。さっ、準備しようか?」 実は葉月さん、私達の結婚直後に妊娠が発覚し、そして無事に出産を済ませ、今では一児のママなんだよね。 以前から、子どもを切望していた葉月さんと、もうすぐ50歳になるというご主人の間に生まれた長女の愛花(まなか)ちゃんは、それはそれは愛らしくて、両親の溺愛レベルが半端ない。 あまりの過保護ぶりに、周囲は密かに愛花ちゃんの将来を心配していたりする…。 凛太郎が愛花ちゃんに、『愛花、俺の息子の遊び相手になってくれよなぁ〜。』なんて言った日には、『あんたの息子なんて、危なくて相手させられないわよっ!女の子にしてよね、絶対女の子よ!』と…。 その目が、かなり本気だったのを記憶しているんだけど…。 ヘヘっ、お姉さん、その子は私の子どもでもあるんですよ……。 だけど今、出産の先輩である葉月さんが側にいてくれることは、私にとって非常に心強い存在であることは間違いない。 それから、とりあえず診察を受ける為に、病院に電話をして状況を説明した。 『入院準備の荷物を持参してくださいね。お待ちしていますので、慌てずに気をつけてお越し下さい。』そう言われて、改めて出産が近いことを自覚した。
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