6516人が本棚に入れています
本棚を移動
/173ページ
理由はどうであれ、酔っ払って初対面の男性の部屋に泊まったなんて、誰にも知られたくないなぁ〜。
いや、知られちゃダメだよね?会社だし!
せっかく凛太郎が話を合わせてくれたんだから、なんとかバレませんようにっ!
しかし凛太郎、オフィス仕様の私によく気づいたな。
あっ、そうか!
あの朝、化粧も剥がれたスッピン状態の私も見てるんだよ、凛太郎は!
などと考えているうちに、今回の商談は成立。
ノベルティー及び販促キャンペーンのグッズデザインはアールデザイン事務所に依頼することになった。
過去に手掛けた作品や、数々の受賞作をタブレット端末で見せてもらった私は、彼のオフィスが素晴らしいセンスと技術を持っていることを認めざるを得なかった。
結果、課長はアールデザイン事務所との仕事が楽しみだと言い、彼等と再び握手を交わした。
「それでは、今日はこれで失礼します。
何かご要望やご質問がありましたら、私か藤川までご連絡ください。
冴木さん、また次回にサンプルをお持ちしますので、宜しくお願いしますね。」
凛太郎は、ビジネスモード全開で私に話しかけた。
なんだか憎らしい気もする、涼しい顔しちゃって〜。
それでも、こちらも仕事だ。
「はい!デザインの出来上がりが楽しみです。期待してますので、宜しくお願いしますね。」
こちらもビジネスモードで答えた。
最後に頭を下げて、彼らを見送った。
「お疲れ〜、冴木〜ご苦労さん!
まぁ、こんな感じだな。アールデザインの経過報告は頼むぞ?」
「はい、分かりました。
今日は良い勉強になりました。」
打ち合わせが終わると、そろそろ退勤時間だった。
今日は、ほんとに勉強になった。
これから、凛太郎や藤川さんに会う機会が増えるんだよね。
そうだ、電話しておこうかな?
藤川さんに?それとも凛太郎に?
最初のコメントを投稿しよう!