新しい私

2/4
6517人が本棚に入れています
本棚を移動
/173ページ
親友の麻里奈と、駅前のカフェで待ち合わせをしていた。 途中、ショーウィンドウに映る自分の姿を見た。 失恋の痛手だろうか? たった3日で少し痩せた体に、細身のワンピースが程よくフィットして似合っている。 ふふっ、失恋しても良いことなんてあるんだな。 幾分すっきりしたボディーラインに変化した私は、もう以前の私じゃない。 見てろよ〜、びっくりするぐらい良い女になって、後悔させてやるからな! これが本音だ。 あんな切り捨てられるような終わり方…。 彼にとって、私はその程度の女だったのかと思ったら、悲しいを通り越して怒りに変わった。 「優香〜、こっち、こっち〜!」 親友の麻里奈が手を振っている、 私はニッコリと微笑んだ。 「ハーイ、お待たせ〜!久しぶりだね〜 3日振りだよね〜、麻里奈。」 「久しぶり〜じゃないよ、優香! 3日も会社休んで、何でこんなに明るいんだ? 失恋は?落ち込んでるんじゃなかったの?」 「落ち込んだよ〜、まる3日間ね。」 「ほんと、聞いてびっくりしたよ。 結婚するって言ってたの、健斗さんの方だったよね? なのに、こんなのって…。」 そう、結婚したがってたのは、今井健斗。 つまり、元彼の方だった。 彼に、半ば強引に押されて始まった交際だったけど、意外にも健斗は尽くしてくれていた。 彼はいつも、結婚しようねって言っていて…。簡単に言うんじゃないよ! 簡単に約束破るんだったら、最初から約束なんかするな! 私のどこがいけなかったのか?なんて、考えないよ。 だって、私は悪くないもの。 浮気なんてしたことも、しようと思ったこともない。 合コンなんて全部断ってた。 彼がいたから…。 真面目過ぎたのかな? 彼は彼女を愛してるのかな? 悪いけど、そんな風には見えなかった。 私達の2年間を捨てても、出世が魅力的だった? 確かに私には重役の娘というオプションは無いけど、もし彼がそんな理由で彼女との結婚を決めたのなら呆れる、てかクズだよ。 重役の娘だかなんだか知らないけどね、そんな安易なチャンスに乗っかる、バカな男だったとは思いたくなかったよ。 だけど、実際そうなんだから仕方ない。 二股かけられた事実も変わらない。 親に紹介してなくて良かったと、心底思った。 これから、私はどうする? もっともっと魅力的な女性にならなくちゃ。 だけど、元彼なんかもう要らない。 元彼は重役の娘にくれてやる。 ありがとう!結婚しなくて良かったと、今となっては貴女にお礼を言いたいぐらいだ。 新しいスタートを切り、新しい自分に生まれ変わるんだ。 未来に向かってGo!だ。
/173ページ

最初のコメントを投稿しよう!