恋に躊躇する

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「市川課長、高木さん、彼女は私と同じ販促の井上さんです。」 とりあえず、麻里奈を紹介しないとね。 「井上麻里奈です、よろしくお願いします。」 「市川です、こちらこそよろしく。」 「高木です、よろしくね。」 そして、四人仲良くランチを食べることになった。 麻里奈は、意外にも大人しくニコニコ微笑みながら、お二人の話を聞いていた。 ふむふむ、お淑やかキャラで攻めるのか? やるな!麻里奈。 「そう言えば、冴木さん、 アールデザインの坂崎、どうだった?」 と、市川課長が聞いてきた。 さ、坂崎凛太郎? どうって?何が?ど、どう? 「さ、坂崎さんですか?」 「うん、あの後、打ち合わせしたんだよね?」 あぁ、なんだ〜打ち合わせの件か〜。 「はい、横山課長も絶賛していました。アールデザインさん、まだ開業して間もないのに凄いですよね? デザイン賞受賞作とか沢山ありましたし。」 「うん、あいつは若いけど凄い才能があると思う、坂崎凛太郎。」 「さっ、坂崎凛太郎?」 麻里奈が、大きな声を出した。 お二人は同時に、麻里奈の方を見た。 「井上さん、知ってるの?坂崎を。」 課長の問いに麻里奈は、 「あ、あぁ〜、名前…聞いたこと、あるかなぁ?」 「かもしれないよ?時々、雑誌とかに掲載されたりしてるからな。」 へーっ、そうなんだ〜。 「坂崎凛太郎さんて、デザイン事務所のですよね? あれだけビジュアルが良ければ、雑誌受けも良いですよね〜。」 と、高木さんが頷いていた。 ビジュアルか… 「そう言うお二人も、負けてませんよ?」 と、すかさず麻里奈が言った。 「いや、課長はともかく。俺はなぁ〜。」 高木さんが言うと、 「いえ、高木さん!その筋肉は! 本当は、女子は大好きなんですよー!」 麻里奈はその後も、高木さんのラグビーで鍛え上げた筋肉を褒め称えた。 麻里奈〜、高木さん引いてるよ? 思い出したわ。 あんた、筋肉フェチだったって…。 やけに疲れた昼休みだったな。 坂崎凛太郎…、ふと彼の顔が浮かんで、慌てて打ち消した。
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