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翌朝、麻里奈の部屋で目覚めた私は、意外にも二日酔いにならずにホッとしていた。
麻里奈が作ってくれた朝ごはんが、次々とテーブルに並ぶのを見て仰天した。
なんだ?この素晴らしい朝ごはんは…。
焼き鮭、玉子焼き、青菜のおひたし、焼き海苔、豆腐とワカメの味噌汁という、朝の定番だけど、なかなか一人暮らしではお目にかかれない献立に、お腹の虫が鳴き出した。
麻里奈〜、あんたは素晴らしい!
私は大喜びで朝ごはんを食べた。
嫁が居るって、こういう感じかなのかな?
朝から幸せだよね。
こういう朝を迎えられるなら、結婚も良いかもしれないなぁと、なぜか男目線な私なんだけど…。
そんな私のほんわかとした気分を掻き消すかのように、私のスマホの着信音が鳴り響いた。
"坂崎凛太郎"の文字に一瞬怯んだけど、麻里奈の顔を見たら、彼女が微笑みながら頷いたので、私も頷き返してスマホを通話にタップした。
「おはようございます、冴木です。」
『優香、俺だけど……、この前は悪かったな。
一方的に優香を責めて、意地悪な言い方した。
嫌なヤツだったわ、俺。
ゴメンな!それだけ、言いたくて。』
「ううん、気にしてないから大丈夫。
わ、私達、つき合ってるわけでもないんだから、別にそんな謝らなくてもいいよ!気にしないで。」
『あ、あぁ、そうか、悪かった。
優香?俺さ、優香に話したいことがあるんだけど…今夜、飯でもどうかな?」
「えっ、今日?」
まだ、心の準備が…。
だけど麻里奈が…、行け!行け!と手でジェスチャーしている。
わ、分かった。
「うん、大丈夫です。」
『じゃあ、優香の時間に合わせる。
車で迎えに行くから、仕事が終わったら連絡してくれるか?』
私達は今夜、食事に行く。
考えてみたら、会うのはあの日以来だ。
なんだか緊張してきた〜。
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