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3日間休んだ私に対して、課長をはじめ皆んながとても優しい。
もしかして?皆んな私が振られたこと、知っているのだろうか?
仕事をしに来てるんだから、プライベートなことで迷惑はかけられない。
今カノが同じ会社じゃないだけ、まだましだと思うことにした。
もう過去は振り返らない、
前進あるのみだ。
だけど、今井の方はそうじゃなかったみたいだな。
私からの報復を恐れているのか?
言っておきますが、別れた男に未練がましく執着する気も暇も、私にはありませんから…、ご心配なく!と言いたい。
なんかチラチラ、こっちを気にしている今井が鬱陶しい。
そんな中、後輩の深雪ちゃんが
「優香さん、体調崩してたんですよね?
3日もお休みで心配しましたよ、なんか痩せました?
元々、美人なのに益々きれいになっちゃって〜、羨ましいです〜!」
「深雪ちゃん、またまた〜」
ほんとか?何気に嬉しいんだけど…。
「いや、私もそう思って見てた。
なんか憂いを帯びた雰囲気が、またいいわ!
新たな恋が始まるかもね?」
と先輩女子社員の野田さんが言った。
その瞬間、深雪ちゃんが先輩の野田さんの背中をパシッと叩いた。
新た?
やっぱ知ってるんだ、皆んな。
我ながら情けない…失恋で仕事を休むなんて。
「まぁ、いろいろ有りましたけど、私は大丈夫ですから、ご心配なく。
野田さん、深雪ちゃん、気を遣わせてごめんなさい。ありがとう。」
私は笑顔で言った。
そこへ、すかさず麻里奈が口を挟んだ。
「もう、すぐそこに素敵な出会いが待ってるはずだよ、こんないい子なんだから!
きっと優香に、本当にお似合いの相手がね。」
だと良いんですが…。
今はまだ、恋は早いかな?とも思います。
こうして、緊張と混乱の一日は過ぎて行った。
そして、仕事帰りに社屋を出たところで、営業部の男性社員に声をかけられた。
「冴木さん! 俺、営業一課の高木良平と言います。少しだけ、俺の話を聞いてもらえませんか?」
なんだ?
よく分からないけど、さすが営業一課のエースだ。
私はその目力と勢いに呑まれ、思わず頷いてしまった。
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