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これが恋
「優香〜、まぁ飲みなよ。」
「麻里奈、言っとくけど!私は酒に逃げたりしないから!酔っぱらって記憶無くすとか有り得ないからね。」
「どの口が言ってんだか?」
麻里奈は呆れたように笑ってる。
「もうっ!頑張ろうって思った矢先に、
出鼻を挫かれるってこのことだよね…。
もうやだ〜っ!」
「はいはい、叫ばないのっ!」
そう言いながら、私に酒を注ぐ麻里奈。
「いいじゃないの、私んちで家飲みしてるんだから、飲め飲め!」
そう言って注ぐ酒は日本酒で、アルコール度数は高い。
さきイカをかじりながら、段々と呂律が回らなくなる自分が可笑しくて、ケラケラ笑った。
何が可笑しいんだろ〜、だけど楽しいな。
「麻里奈といると本当に楽しいよ…」
「そう?ありがとう!
私もあんたと一緒は楽しいよ〜。だけど、優香には幸せになって欲しいから、早く元気出しなよ。それに今回は、タイミングが悪かっただけだからさ。
それと、さっきからスマホが鳴りっぱなしなんだけど?」
は?スマホ〜、誰かなぁ〜。
"凛太郎"の文字を見た瞬間、『凛く〜ん!』と言う綾の甘い声が聞こえた気がして、二人の姿が脳裏をよぎった。
なんだかモヤっとした私は、電源オフをスライドしてしまったようだ。
後から、麻里奈がそう言っていたから、そうなんだろう。
その後の記憶は曖昧なんだけど、麻里奈の隣りで安心した私は、やがて深い眠りにつくわけだが、
眠りにつく直前、麻里奈が私の頭を撫でながら、
『これが恋だよ、頑張りな…』
そう囁いた気がしたけど…、きっと明日には忘れてしまうんだろうな…。
フワフワとまどろみながら、私は心の中で呟いた。
いつもありがとう…麻里奈。
親友っていいね。
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