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恋に不安はつきもの
翌朝早くに、目が覚めた。
いつもと違う体の痛みに違和感を感じて、昨夜の出来事が思い出された。
本当にしちゃいました…、うふっ、この幸福感をなんと表現すれば良いんだろう?一人でニヤニヤしている私は、きっと怪しいヤツだ。
などと考えていると、不意に伸びてきた逞しい腕が、そんな私を背後から抱きしめた。
その温もりに包み込まれた私は、身を捩りながら、幸せいっぱいの顔で凛太郎を見つめた。
「凛太郎…」
昨夜の余韻なのか?
いつもの私の声ではなくて、掠れた声が出た。
凛太郎は、クスリと笑って、
「夕べ、啼かせすぎたかな……。」
そう呟いて、彼は私の背中にキスをした。
「あっ、」
思わず出た声に、赤面した私。
「誘ってんの?」
そう言って凛太郎は、私の顔を覗きこんだ。
いやいや、誘ってんのはあなたでしょ…
「優香は、スッピンも可愛いな。」
なんて、サラッと言っちゃうから、もう顔から火が出そうだよ。
そんな凛太郎の少し気怠げな雰囲気は、半端なくセクシーだった。
額に垂れた前髪と裸の上半身とか、どこかの雑誌に出てきそうで、こんなの見たら世間の女性が大騒ぎしそう。
はあ〜っ、なんでこんなカッコイイの?
イケメン過ぎて、心配…。
もっと普通だと、安心なんだけどな。
凛太郎のカッコ悪いところを、なんとか探そうとしてみたけど、特に見当たらないんだよね。
もしや、恋愛フィルターの仕業なんだろうか?
無条件にカッコ良く、見えてしまうという例のフィルター?
じぃ〜って、凛太郎の顔を凝視したけど…。
はぁっ、ダメだ!やっぱりイケメンだー。
寧ろアゴのラインとか、カッコいいところを新たに、見つけてしまったじゃないか!
贅沢な悩みと知りながら、出来ることならこのイケメン振りに、悩まされることがないことを祈るばかりだ。
そんな私の気持ちも知らないで…、当の本人は呑気に二度寝を決め込んで、すぅーすぅーと穏やかな寝息を立てはじめた。
そんな凛太郎の寝顔が、たまらなく愛しくて…。
彼を愛していることを再確認した私は、彼に寄り添いながら、再び瞼を閉じた。
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