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事の顛末
そこへ葉月さんがグラスを片手に、私達のテーブルに合流した。
「あら、優香ちゃん!悪い子ね〜。お姉さんの後をつけて来ちゃって〜。お仕置きしちゃおうかしら?ふふふっ…。」
そう言って、悪戯な笑みを崩さない葉月さんは、きっと私の尾行に気がついていたんだろうな。私を見てニヤリと笑ったと思ったら、く〜っとカクテルを飲み干した。
そして、カウンターチェアに腰掛けて言った。
「隆ちゃん、やっぱりアイツよ〜。凛太郎の名を騙る不届き者…。」
今なんと?
中西さんが、凛太郎の名を…?
市川課長はテーブルに肘をつき、その手を顎にあてて考え込んでいる。
その姿が、あまりにもイケメン過ぎて、惚れ惚れしてしまいますが…。
「なるほど…、やはり奴の仕業か。」
「そう、デザイナーしてるって。
名前は坂崎だって名乗ったわ。
女性と待ち合わせしてた癖に、彼女には理由をつけて断わるから、一緒にどこかで飲みなおそうって…。
ふんっ、クズ!あの程度で、イケメンだとか思ってんのかしら?
悪いけど、私は小さい頃から凛太郎や隆ちゃんばっかり見て育ってるから、あの程度の男なんてイケメンに入らないんだけどね〜。」
ほほ〜、さすがです!葉月さん。
ウチの会社の女子社員の間では、オフィス河合の中西さんと言えば…かなり人気があるんですが…。
葉月さんは、やはり目が肥えていらっしゃる!
で? 坂崎って、凛太郎の名を騙ってるって?
いったい、どうしてなんでしょう?
「あの〜? 中西さんは、どうして?」
「妬みだろ?簡単に言えば…。」
妬み…、中西さんが?
「でも、名前を偽ってつき合って、どうするんですか? 本当に好きなら…」
「本気じゃないからよ…。
適当に遊ぶだけ遊んで、ポイ捨て。
ここ数ヶ月で、何人も!
凛太郎の評判を落とすには、十分な気がするわね。プラス、自身の憂さ晴らしの為に女の子を利用してる。」
そんな卑怯な!
女性の恋心まで利用するなんて。
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