事の顛末

1/11
6516人が本棚に入れています
本棚を移動
/173ページ

事の顛末

そこへ葉月さんがグラスを片手に、私達のテーブルに合流した。 「あら、優香ちゃん!悪い子ね〜。お姉さんの後をつけて来ちゃって〜。お仕置きしちゃおうかしら?ふふふっ…。」 そう言って、悪戯な笑みを崩さない葉月さんは、きっと私の尾行に気がついていたんだろうな。私を見てニヤリと笑ったと思ったら、く〜っとカクテルを飲み干した。 そして、カウンターチェアに腰掛けて言った。 「隆ちゃん、やっぱりアイツよ〜。凛太郎の名を(かた)る不届き者…。」 今なんと? 中西さんが、凛太郎の名を…?  市川課長はテーブルに肘をつき、その手を顎にあてて考え込んでいる。 その姿が、あまりにもイケメン過ぎて、惚れ惚れしてしまいますが…。 「なるほど…、やはり奴の仕業(しわざ)か。」 「そう、デザイナーしてるって。 名前は坂崎だって名乗ったわ。 女性と待ち合わせしてた癖に、彼女には理由をつけて断わるから、一緒にどこかで飲みなおそうって…。 ふんっ、クズ!あの程度で、イケメンだとか思ってんのかしら? 悪いけど、私は小さい頃から凛太郎や隆ちゃんばっかり見て育ってるから、あの程度の男なんてイケメンに入らないんだけどね〜。」 ほほ〜、さすがです!葉月さん。 ウチの会社の女子社員の間では、オフィス河合の中西さんと言えば…かなり人気があるんですが…。 葉月さんは、やはり目が肥えていらっしゃる! で? 坂崎って、凛太郎の名を騙ってるって? いったい、どうしてなんでしょう? 「あの〜? 中西さんは、どうして?」 「妬みだろ?簡単に言えば…。」 妬み…、中西さんが? 「でも、名前を偽ってつき合って、どうするんですか? 本当に好きなら…」 「本気じゃないからよ…。 適当に遊ぶだけ遊んで、ポイ捨て。 ここ数ヶ月で、何人も! 凛太郎の評判を落とすには、十分な気がするわね。プラス、自身の憂さ晴らしの為に女の子を利用してる。」 そんな卑怯な! 女性の恋心まで利用するなんて。
/173ページ

最初のコメントを投稿しよう!