親友

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親友

凛太郎の車で、麻里奈のアパートに一度寄って、着替えを済ませてから会社に向かった。 その間ずっと、凛太郎は楽しい話をたくさんしてくれて、車内は笑い声が絶えなかった。 沈みがちな麻里奈の気持ちを、気遣ってくれる彼に感謝した。 ふと外の景色に目をやると、街はクリスマスの装いに変わっていることに驚いた。 ここのところのゴタゴタで、全く気づいてなかったな…。 「クリスマスだね…。」 麻里奈が静かに呟いた。 「うん、早いね〜!いつの間にか12月だよ。」 「優香、クリスマスの予定は?」 「ん? 未定?」 私の答えに、麻里奈は可笑しそうに笑って、 「何? つき合って最初のクリスマスだよ?  ちょっとちょっと、彼氏さん!ちゃんとビシッと決めてよね?」 急に話を振られたにも拘らず、凛太郎はニヤリと笑って、 「もちろん、考えてるけど?」 「良かったね、優香!」 「う、うん…。」 麻里奈は? 一人でクリスマス? 去年は、お互いに彼氏がいたけど…彼女を一人にしたくないな、そんな思いが私の心に広がった。 「優香?言っとくけど、くれぐれも私に気を遣わないでよねー。私も一人でゆっくり過ごしたいからね。」 麻里奈…。 「さぁ、もうすぐ到着!手前で停めるけどいいか?」 「うん、ありがとう!凛太郎。」 「凛太郎さん、ありがとうございました。」 「いえいえ、お安いご用ですよ。ははっ」 彼は私達に軽く手をあげ挨拶した後、車を発進させて去って行った。 「凛太郎さん…、優しくて素敵な人だね。 良かったね。」 「うん、私もそう思う。」 ほんと、私には勿体ないぐらい素敵な人。
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