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「本当にいい店だわ。「Milestone」って」
自画自賛するように、海は満足そうに頬を緩ませる。その時、来客を知らせる鈴の音がした。
「いらっしゃいませ!」
皆が満面の笑みで新しい客を出迎える。一見するとわかりづらいが、空の表情も僅かにだが柔らかい。
扉を開けると、新しい出会いが待っている。出会いは次の出会いに繋がり、それはどんどんと連なっていく。
海も店に出て、売り場をゆっくりと歩く。目についた鉱石のブレスレットを手にすると、陽の光を受けてキラキラと輝いた。
新しい出会いが、新しい繋がりが、こんな風にいつもキラキラと輝いているといい。
「海さん! 久我さんに確認したいことがあるので、ちょっとお任せしていいですか?」
駆け寄る真結に微笑み、海は大きく頷いた。
「いいわよ。いってらっしゃい」
「はい!」
始めは少し心細そうな顔をしながら接客をしていた真結も、今ではすっかり頼もしくなった。女性客も声をかけやすいのだろう、何か聞きたいことがある時やオーダーメイドの相談は、真結が受けることも多くなった。
「あの……背中を押してくれるというか、勇気が貰えるようなパワーストーンを探していて……」
真結が接客していた女性客が、小声で海にそう伝える。
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