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「それくらい、顔を見ていればわかる。それに、むやみに人の心を覗いたりしない」
「う……ごめん」
素直に謝ると、空の表情がほんの少し和らいだ気がした。それを見て、真結はホッと胸を撫で下ろす。
「君は、こいつがコスモオーラの精霊か何かだと思ったんだろ?」
見事に言い当てられ、真結はコクンと頷いた。すると、空はもう一度、含むように言った。
「俺は、強い思念を具現化できると言った。思念とは、人が残すものだ」
真結の目が大きく見開く。確かにそうだ。精霊や付喪神とは違う。
「ということは、そのコスモオーラには誰かの強い思念が宿ってるってこと? そして、それが具現化したのがソラ君……」
「そう」
ソラの風貌を見ると、随分可愛らしい人が残した思念のような気がする。
「祖父が常に身に着けていた鉱石だ。だからといって祖父の思念とは限らないけど」
そうかもしれないが、真結は何故だかそうは思えなかった。
赤の他人の思念が具現化したのなら、こんなにそっくりになるだろうか。
空の顔をはっきりと認識した今では、空とソラの顔は瓜二つといえた。空の幼い頃は、きっとこんな風だったのではないか。そして、この鉱石は空の祖父が常に身につけていた。とすると、やはりこの思念は空の祖父が残したもののような気がする。
そんなことを考えていると、いつの間にかソラがすぐ側まで来ていることに気付いた。
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