不思議な出逢い

10/14
181人が本棚に入れています
本棚に追加
/189ページ
「それくらい、顔を見ていればわかる。それに、むやみに人の心を覗いたりしない」 「う……ごめん」  素直に謝ると、空の表情がほんの少し和らいだ気がした。それを見て、真結はホッと胸を撫で下ろす。 「君は、こいつがコスモオーラの精霊か何かだと思ったんだろ?」  見事に言い当てられ、真結はコクンと頷いた。すると、空はもう一度、含むように言った。 「俺は、強い思念を具現化できると言った。思念とは、人が残すものだ」  真結の目が大きく見開く。確かにそうだ。精霊や付喪神とは違う。 「ということは、そのコスモオーラには誰かの強い思念が宿ってるってこと? そして、それが具現化したのがソラ君……」 「そう」  ソラの風貌を見ると、随分可愛らしい人が残した思念のような気がする。 「祖父が常に身に着けていた鉱石だ。だからといって祖父の思念とは限らないけど」  そうかもしれないが、真結は何故だかそうは思えなかった。  赤の他人の思念が具現化したのなら、こんなにそっくりになるだろうか。  空の顔をはっきりと認識した今では、空とソラの顔は瓜二つといえた。空の幼い頃は、きっとこんな風だったのではないか。そして、この鉱石は空の祖父が常に身につけていた。とすると、やはりこの思念は空の祖父が残したもののような気がする。  そんなことを考えていると、いつの間にかソラがすぐ側まで来ていることに気付いた。
/189ページ

最初のコメントを投稿しよう!