181人が本棚に入れています
本棚に追加
/189ページ
「わっ!」
「マユイ!」
ソラは甘えるように真結に身体を寄せる。天使のような子にすり寄られ、真結の頬が緩んだ。
「可愛い……」
思念といえど、この姿かたちからすると、人間の子どもと全く変わらない。髪はサラサラで指をすり抜けていき、触れる体温もはっきりと感じられる。本当に人間の子どものようだ。
「おい」
空がソラの首根っこを掴んで、真結から離す。すると、ソラはまた頬をぷうと膨らませた。
「やだやだやだっ! 離してっ!」
「消すぞ」
「やだ! マユイ、助けてっ!!」
腕をブンブンと振り回しながら抵抗するソラを見て、真結はソラを思い切り抱きしめる。途端、ソラの動きはピタリと止み、空も呆気に取られたようにソラを離した。
「もう大丈夫だよ」
そう言ってソラに笑いかけると、ソラは嬉しそうに満面の笑みを浮かべる。それが愛らしすぎて、真結は知らず知らずのうちに腕に力が入ってしまった。
「マユイ、苦しいよ」
「あ、ごめんなさいっ!」
腕を離すと、今度はソラの方が真結の身体に腕を回してくる。
「ありがとう、マユイ。マユイ、あったかいね」
「……そう?」
「うん!」
ソラの笑みを見ていると、心がふんわりと温かくなる。真結が幸せな気分に浸っていると、不意にゴホンと咳払いが聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!