不思議な出逢い

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「俺の気が緩んだ時に勝手に出てくる。ただ、いつもはもっとぼんやりした感じなのに、あれほどはっきりと見えて、触れられるなんてこれまではなかった。……たぶん、君が俺の力を増幅してるんだろうな」 「……」  真結はそっと空を見上げる。勝手に力が増幅されてしまい、迷惑しているのではないかと思ったのだ。  しかし、空は肩を竦めているだけで、それほど迷惑そうな顔をしていないように見える。ただし、表情が乏しいので本当にそうなのかは謎だが。 「君はその力を制御できないのか?」  真結は申し訳なさそうに頷く。 「うん。だって……制御する必要がなかったから」 「だよな」  特殊な能力を持った人間など、そうそういない。普通の人の側では、真結の力が発揮されていてもいなくても、全く影響がないのだ。 「ごめんなさい」  謝ると、空は素っ気無く「謝らなくていい」と呟いた。 「君に力があるのは君のせいじゃない。それに、制御する必要がないならそれに越したことはない」  同じ特殊な力だというのに、真結の力と空の力とではその苦労は全く異なる。  空の能力は、通常の生活に支障をきたすものだ。だから制御する必要がある。そして、その制御はかなり疲れるのだろう。だから、いつもぼんやりしていて、さっきは誰もいないのをいいことに眠ってしまっていた。  空は気だるげに教室の時計を眺め、バッと目を見開く。
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