不思議な出逢い

14/14
177人が本棚に入れています
本棚に追加
/189ページ
「しまった、寝すぎた」 「え?」  慌てて荷物を持って出て行こうとした空は、扉の前でふと立ち止まる。そして、真結を振り返った。 「常盤真結、今から時間あるか?」 「え? あ、あるけど」 「じゃ、来い。実験してみたい」 「実験!?」 「早く。遅刻する」  そう言って、空はさっさと出て行ってしまう。真結は急いで教科書などを鞄に詰め、空を追いかけようとする。 「ちょっと待ってよ! 日直は鍵閉めなきゃいけないんだからねっ!!」  空はチラリと真結を一瞥すると、これみよがしに溜息をついた。  溜息をつきたいのはこっちだ。急に来いだの、実験だの、真結にはさっぱりわからない。  しかし、心のどこかでワクワクとした期待が膨らんでいるのを感じる。  これまで何の接点もなかったクラスメートとの繋がりができた。しかも、皆が興味津々の割には遠巻きにしていた人物だ。  思わぬところで繋がった縁に、真結の心は浮き立っていた。
/189ページ

最初のコメントを投稿しよう!