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「ありがとう、大丈夫だよ」
そう言うと、ソラは心配そうに真結の顔を見上げてくる。
「ほんと? マユイ、大丈夫?」
「うん」
真結が微笑むと、ソラはやっと安心したように笑い、真結から離れる。
真結は真っ直ぐ空と向き直った。
ソラは他の人間には見えない。しかし、真結には見えている。その理由を知る権利が空にはある。
そして、空にも見えている理由、それから、ソラがどういう存在なのかを知りたいと強く思った。
「私には、ちょっと変わった力があるの」
意を決して話し始める。空は黙ったまま、真結を見つめていた。
「人の持ってる特殊な能力を増幅する……そういう力。たぶん、それが発動してソラ君が見えているんだと思う」
「そうなんだ! マユイ、すごいね!」
ソラが瞳をキラキラさせながら言うと、空がジロッと睨む。ソラはぷくりと頬を膨らませるが、おとなしく口を閉じた。
それを見て、苦笑しながら真結は話を続ける。
「例えば、念力みたいなものを持ってる人がいるとしたら、その力を何倍にもすることができるの」
「君の能力は、特殊な力のみに発揮されるのか?」
空の問いに、真結はゆっくりと頷いた。
「うん。……だから」
「なるほど」
特殊能力など持たない普通の人の側にしても、真結の力が発揮されることはない。
つまりは──。
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