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我、青龍神也
今から時を遡ること400年前。
魑魅魍魎の力が渦巻く中、唯一の女陰陽師として土佐ノ国を守護した少女がいた。
各地で妖が悪さを働く世の中。この土佐でも、人々を喰らう餓鬼が夜な夜な村を襲い、人々を恐怖に陥れていた。
「 飛鳥、千代、物音を立ててはなりませんよ 」
今宵もまた、暗闇から姿を現わす妖に村人は息を潜め恐怖する。飛鳥と呼ばれる少女の家でもまた、物置の隅に母親と父親、妹の千代と少女が身を寄せ合い震えていた。
餓鬼は主に、子どもを狙う。
その為、外では見つかった子どもの悲鳴とその親の耳をつんざくような悲鳴が彼方此方で響いている。
「 陰陽師さえ此の国に居てくれれば 」
弓矢を射る音や刀で何かを斬る音が聴こえることから、外で対抗しているのは武士とみられる。
本来妖に対抗出来るのは、陰陽師だけだ。
妖は朝が来ると、太陽を避けるかのように闇へと消えていく。陰陽師の居ない国ではそれまで、弓矢や刀で対抗するしか術がなかった。
そう、この国には陰陽師が居ないのだ。
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