二幕

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二幕

なんて懐かしい空気だろう。私はこの空気を知っている。いや、知っていた。今はもうわからない。だってわたしにはもう、知る資格もないのだから。 「キョーカ」 「…アヅミ」 「見たよ。ひどい有様だったね、あの一年の劇」 「それは。仕方ないわ。未経験なんだから」 「そうね。あの時の私の舞台に比べたらいい方よね。ひどいもんだったわよね。今思い出しても笑っちゃうわ」 「…アヅミ!」 「……」 「私たち、ずっと待ってるから。だから、そんなこと言わないでちょうだい。…それじゃあ、部活があるから」 ずっと待ってる。新しい風の吹いた演劇部に、私の場所はあるの?わからない。何も。ただわかるのは、今の私には舞台に立つ資格はないということだけ。
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