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「キョーカ先輩、遅いじゃないですか!」
「…ごめんなさい、もう声出しは終わった?」
「はい、一通り終わりました。なんならもう一回やります?」
「いいわ。勝手にやってるから次の舞台の案考えてて」
「わかりましたー!」
部長を名乗り出るだけあってリーダーシップはあるか。未経験ながらもほかの未経験者を支える度胸や余裕もある。ただ、やはり技術的に追いついていない。経験がないからだ。……問題は山積みか。
「キョーカ」
アンナが神妙な顔で話しかけてきた。
「もしかして、会ったの?アヅミに」
「よくわかったわね。さっき、少しだけね」
「なんか、悩んでる顔してたから。そうかなって。なんか、言ってた?」
「……いいえ。いい新人が入ったねって。それだけ」
「それ絶対言ってないだろ」
「アンナ先輩ー!会議しましょー!」
「わかったわかった!じゃ、キョーカは声出ししてて。こっちはこっちで進めとくから、あとで確認お願い」
「わかったわ」
ふう、とため息をつく。そして、次の舞台の会議をするみんなを尻目に、ひとり声出しを始めた。
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