エマの屋敷にて

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俺は恥ずかしかった 俺以外の全員が、何かしらの目標を持っているのもそうだが 自分が無自覚に皆んなを見下していた事に気付いてしまったからだ 旅に出る装備を整えていなかったイチカとユニ 俺を「ヒロキさま」と呼び、なんでも俺の言うことを聞くカナ 小柄で子供みたいに見えるサマハナ パーティーリーダーとして、として、無意識だがと思っていた 俺が皆んなより優れている点なんて何一つない 俺が冒険者(クエスタ)になったのは、単に市民(シチズン)になって農業をするのは何となくつまらないと思ったからだった 元の世界での、進学を控えた高校生のモラトリアム。俺はそこから一歩も前に進めていなかった エマとニアの視線が冷たい気がしたのは気のせいではないだろう 元の世界で「サークルの姫」と呼ばれてチヤホヤされる紅一点の子の話を聞くと「痛々しいな」と思っていたけれど 俺も似たようなものだった
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