83人が本棚に入れています
本棚に追加
/153ページ
俺は恥ずかしかった
俺以外の全員が、何かしらの目標を持っているのもそうだが
自分が無自覚に皆んなを見下していた事に気付いてしまったからだ
旅に出る装備を整えていなかったイチカとユニ
俺を「ヒロキさま」と呼び、なんでも俺の言うことを聞くカナ
小柄で子供みたいに見えるサマハナ
パーティーリーダーとして、唯一の男として、無意識だが皆んなを引っ張っていかないとと思っていた
俺が皆んなより優れている点なんて何一つない
俺が冒険者になったのは、単に市民になって農業をするのは何となくつまらないと思ったからだった
元の世界での、進学を控えた高校生のモラトリアム。俺はそこから一歩も前に進めていなかった
エマとニアの視線が冷たい気がしたのは気のせいではないだろう
元の世界で「サークルの姫」と呼ばれてチヤホヤされる紅一点の子の話を聞くと「痛々しいな」と思っていたけれど
俺も似たようなものだった
最初のコメントを投稿しよう!