訓練

4/5
83人が本棚に入れています
本棚に追加
/153ページ
翌朝驚いたことに、それらの荷物は綺麗にパッキングされて5人で運べるように背負子(しょいこ)に積まれていた 俺の荷物は主に種子や苗だったが、それも背負子に棚のようなものが組まれ、潰れずに重ねられるようにされていた。サマハナは重たいが嵩張らないモノがメインなのは体格差を考慮してだろう。イチカも俺と似たり寄ったりだ ユニとカナの荷物は嵩張るモノがメインだったので、背負ってしまうと気の毒なロバのような状態になった。重さだって馬鹿にならないだろう 「荷馬車借りようよ」 という俺の進言は却下された「運べる重さなんだから自分で運びます!」とカナは言い張るが、俺としては人の目が若干痛い。奴隷(ワーカー)を虐待してるように見えないだろうか? どうしてもカナとユニが譲らない。仕方がないのでそのままガレリアを抜け街道に入る。燕去(えんきょ)全体の人口が膨れ上がっていることもあり、ガレリアも街道も結構な人出だ。だが良く見ると荷運びをしている者は沢山いたし、俺とイチカの背負っている棚状の背負子(しょいこ)は一般的な造作だと言うことがわかった。また、若い娘の荷運びはちょっと珍しいがいないわけではなかったし、カナ達と同じくらいかそれ以上の荷を担いでいるものも少なくなかった つまり、俺の心配は全くの杞憂で俺たちは全く目立たずに街道を進んでいた ガレリアの喫茶アンブロシアやその他飲食店の前には腰高の台がずらっと並べられていた。飲食をする者はその台に荷を置いて店に入ったり、それに荷を任せて背負ったまま休憩したりしていた。今までも目にしていた光景が、当事者になってみると実にありがたいシステムだと言うことがわかる 荷馬車やロバも沢山見かけたが、そちらはもっと本格的な荷を満載にしていた。結局こうして人が荷運びをするのが一番簡単なのだ。人が運ばないものは沢山のレンガや木材などの建材、大きな酒樽、大きな家具やそのパーツなどで、それすらともすれば人が荷車を引いていた 俺たちは燕去(えんきょ)でも中心部から端のドームに向かっているので、ドームや大きい辻を過ぎるたびに人が減り歩きやすくなっていく この行程にも慣れてきたので、荷があるにもかかわらず、日暮れ前にはエマのドームまで戻ってこられた。カナとユニの荷物は私物なので先にエマの屋敷に向かってもらい、俺とイチカとサマハナはドーム中央近くの広場へ向かった。そこで頼まれていた苗や種子、肥料などを渡して、からエマの屋敷へ帰った
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!