訓練

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………そんな感じで、俺たちは燕去(えんきょ)の外れのエマの屋敷で暮らしながら、訓練を続けて行った。燕去(えんきょ)暦の翌1月にはユニが、2月にはカナがそれぞれ男の子を出産した。名前はみんなで相談してユウトとカイトにした イチカは子供はまだいい、といっている それから、パーティー全員が年齢停止処理を受けた。ユニとカナは出産により資格が出来、父親である俺も条件を満たした。イチカは今までに貯めたお金で足りた。サマハナはみんなの同意で、パーティーで稼いだお金を使って処理を受けることになった 「処理を受けるには若めだけどね」 ニアは言った 「若くで止められるならその方がいいわよ。関節の柔軟性とか違うしね。それに歳をとる方向の処置は簡単だけど、若返るのはすごく大変だから」 見た目ではサマハナは十代前半、俺たちは二十代前半という感じになった。これからは歳の取り方が極めてゆっくりになるという 「エマとニアはいつ頃年齢停止処理を受けたの?」 「いくつだったかな?あたしは確か28とかだった気がする。エマはあたしが処理を受けた時にはもう有段者だったから…」 「私は31だったかな?長く生きてると曖昧になってくるわね」 怖いので二人の年齢は聞かなかった。街区Aにいるお子さん達の(見た目の)年齢からしても、二人とも相当高齢なのは確かだ。年齢停止処理のおかげで若々しく身体も自在に動くのがすごい それからカナとユニは耳と尾を除去した。もう耳がある事に違和感は感じていなかったが、やはり耳や尾は奴隷の証なので不都合なようだ。獣人とっては大切なんじゃないかと思っていたがこだわりは無かったようで、あっさりしたものだった ユウトとカイトはエマがセンターにごり押ししてくれて、手元で育てられる事になった。後から知った事だが、ナチューレは圧倒的に女が多いため、ナチューレの男児であるユウトとカイトを手元に置くのは相当大変だったようだ。また、自然妊娠で男の子を作った俺とカナ、ユニの三人も引き渡し要請が凄かったという そんな事は知らないまま、俺たちは訓練に明け暮れていた。エマの屋敷のログハウスは俺たちのホームになり、一階を改装して、子供達用の部屋やエリアを作った それぞれの部屋もどんどんカスタマイズされていった。 サマハナの部屋は勉強机以外は秘密基地のようになっていた。隠し扉なんかもあるらしい。ユウトとカイトが大きくなったら自慢するといって、部屋をカラクリだらけにしている イチカは宣言通りウォークインクローゼットを作り、白を基調とした部屋にカラフルなインテリアを持ち込んでいた。まっしろの毛皮のラグを使っているので、土足厳禁だ ユニは生活のメインを一階の子供部屋に移し、二階の部屋は完全に裁縫などの作業部屋にしてしまった カナは産後乳離れするまでは下で過ごす事にしたが、二階の寝室と書斎は残していた 一階の子供部屋は小さな保育園のようになっていて、ユウトとカイト、これから生まれるかもしれない彼らの兄弟姉妹のためのスペースになっている 俺は寝室には大きめのベッドを置き、青から緑プラスアースカラーでまとめていた。書斎は実用重視で、書写がしやすいレイアウトにしている。カナの部屋はピンクとパープルとアースカラーで、俺の部屋と対照にしつらえていた 二人の共用の部屋には赤と黄色を中心にしたやはりアースカラーの家具やクッションが使われている。俺とカナの部屋はみんなにも評判が良く、共用部分で誰かがお茶をしていることもよくあった 俺たちは家族で、共同体だった。暑い夏を、寒い冬を共に過ごし、子どもを育て、家を守っていた
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