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何故か今三崎くんに右手を掴まれたまま、通路の端に立っている。
俯いたまま顔をあげれずにいる。
駅に繋がる通路なので、人がたくさん通る。
同じ学校の制服や私服姿の人、サラリーマン、子供連れの人。
背が高くてそれだけでも目立つのに、イケメンが女子高生の手を掴んでいる。
何事かと、みんなチラチラ見ながら通りすぎる。
「勘違いだったんだ。」
三崎くんがようやく口にした言葉はそれだった。
うん、それはわたしも認めた。頷くしかない。
「俺も、勘違いしてた。桃谷さんは春樹が好きなんだと思ってた」
「えぇっっ」
何がどうしてそうなった。
「だけど、無理だった」
切ない目をわたしに向けて続けた。
「桃谷さんが、春樹を好きでも諦めたくないって。春樹は安藤のことを好きなんだし付き合ってるし、そんなの不毛じゃないかって。いつか春樹を好きじゃなくなる時がくるだろって」
顔が熱い。きっと真っ赤だと思う。
心臓もマックスで動いている。これ以上は無理だよって言うくらい、早く動いている。
「俺、、、桃谷さんのことが好きです」
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