告白

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告白

私たちの回りには誰もいなくなったかのように、一切の音が聞こえなかった。 ただ、右手を掴んだままの三崎くんがそこにいる。掴まれた手首をぼんやりと見ていると、少し力が強まった気がした。 相変わらず心臓は忙しい。 あまりの緊張にくちびるが渇いてうまく喋れない。 ゆっくりと深呼吸をして自分を落ち着かせると、手首から三崎くんの目へと視線をうつした。 三崎くんの目はずっとわたしを見てくれていたようだ。以前から、そして今この瞬間も。 「あ、の、」 下唇を舐めてくちびるを潤し漸く言葉を発することが出来た。 それでも喉が何か蓋をされているかのように声がうまく出ない。 でも、この溢れ出す気持ちを伝えたい。 「み、さきくんは真紀が好きだって、さっきまで思って、て。」 「うん」 「だから、封印するしかないって。 真紀にも三崎くんが真紀を好きなんじゃないかってことも。三崎くんは春樹くんと友達だし、きっと自分の気持ちは封印してるんだろうなって。だから…」 少し三崎くんとの距離が縮んだ。握手をするような距離感からジリッと三崎くんが少し歩み寄ったのだ。 「うん、それで?」 「ーーだから、わっ、わたしの、気持ちはっ」 ツツッと頬を流れるものを感じると、三崎くんは掴んでいない方の手に持っていた鞄を床に置き、指で涙を掬ってくれた。 「…うん」 「わたしの、気持ちは、片思いでも見ているだけで、十分だって……」 きっと鼻は赤いし、言葉は途切れ途切れだし。涙は出てるし、もしかしたら鼻水も出てるかも。 でも言わなくちゃ。わたしの気持ちを。 「でも、三崎くんに言ってもらえて嬉しかった。        わたしも、好きです    」
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