彼氏

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今日は天気は悪くはなかったけれど、三崎くんたちは昼休みにグラウンドには出てこなかった。 残念だなぁ、明日は見れるかな。 付き合いだしたからといって、どうしたらいいのかわからない。 クラスが違うので、そもそも接点がない。 部活もわたしは主に室内。ランニングをしたりすることはあるけど、三崎くんのいるテニスコートはわたしのランニングコースから離れているから、あまり近くに行くことはできないし。 そんなことを考えながら部活に向かった。 ランニングするときは、音楽室の隣が部室になのでそこで着替える。 ランニングするのは、委員会活動がない月曜と木曜。委員会がある時は終わり次第練習になる。今日は委員会はないので30分がランニングなどトレーニングの時間。その後だいたい一時間半から二時間の練習時間だ。 ランニングコースは決まりがあるわけではないから、今日はテニスコート寄りを走ってみようかな… 準備を整えグラウンドへ出た。 色んな部活の人が活動を始めている。まだウォーミングアップの段階。 わたしは運動は得意ではないけれど、この雰囲気が好きだ。 トレーニングウエアを着て走ったり柔軟をしたり。 なんだか、青春だなって思う。 「さーくらーっ」 ふと見ると真紀が陸上部のジャージを着てこちらに走ってきた。 短距離走者の真紀は無駄なお肉がついていない。それがかっこいいなって思う。 「さくらがめずらしいね、このコース」 するどい。 いつもお昼ごはんで眺めているこのグラウンドは、わたしのランニングコースではない。 いつもは運動部の少ない校舎の周りを走るけど、今日は運動部の人たちもいるグラウンドを走ってみようかと。 「気分転換、みたいな。」 とは言ってみたものの、運動部の人たちに迷惑かなぁなんて思い始めていた。 「さくら、一緒に走ろ!」 「え、悪いよ。わたしめっちゃ遅いし。」 「知ってるよ、ひとりじゃ走りづらいでしょ」 さすがです、真紀は。 「真紀、大好きっ!」 わたしの考えていることがお見通しなのか、真紀はわたしのことを思って、一緒に走ってくれるというのだ。嬉しくて抱きついていると 「おい、安藤」 後ろから声が聞こえたので振り向くと、テニスウエアに身を包んだ三崎くんがいた。
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