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「ね、楽しい?」
親友の安藤真紀が食べ終えたお弁当をランチバックに仕舞いながら聞く。
「この時間が幸せなのー」
少し不貞腐れて最後のミニトマトを口にする。
「あ、はるくん転んだ。バカだねぇ」
クックッとニヤけて見つめる先には、真紀の彼氏である梶谷春樹くんがいる。
そしてその近くで、笑いながら手を貸しているのがわたしの想いびとである、三崎駿太くんだ。
「まーきーっ」
春樹くんがズボンについた砂を払いながら、真紀に大きく手を振っている。
真紀は照れながらも、小さく春樹くんに手を振り返した。
その横で三崎くんは、リア充めって春樹くんを小突いてサッカーに戻って行った。
一瞬、目が合った気がしたんだけどな。
多分、三崎くんは真紀のことが好きなんだと思う。
目が合った気がしたのは、真紀を見ているから。
この半年三崎くんを見ていればわかる。
真紀はいつも隣にいるから。
だから目が合うんだ。
「真紀も幸せな時間でしょ」
半年も見つめるだけのわたしに冷ややかな視線を送る真紀だけど、昼休みのこの時間は春樹くんをたっぷり眺めることができるので、嬉しそうにしている。
「…うん、、、ありがとね」
頬をピンク色に染めてうつむきポソッと呟く真紀は素直でかわいいな。
「じゃ、いいでしょ。わたしも真紀も幸せな時間を過ごせてるんだから」
「そうだけどさ。なんかさー。昨日一緒にマック寄った時、さくらも行ったらよかったのに」
「え、無理無理」
三崎くんは春樹くんと同じテニス部。真紀は陸上部。
部活が終わってどちらかが終わるのを待って一緒に帰っている。
真紀が待つときは途中まで三崎くんや1年の他の部員もいるらしい。
部活後たまにみんなで駅前のマックに立ち寄ってポテトとジュースを頼むらしい。
昨日はわたしも帰りが同じになったけれど、マックには行かなかった。
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