6人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
帰り道、何を話したかわからない。
真紀を挟んで右に春樹くん、左にわたし。
前方にテニス部の男の子たち。
三崎くんはその中にいる。
横ふたりの話は上の空だった。
たまにわたしに話を振ってくれるけど、あいまいに返事をするばかりだったので、しばらくして察した真紀がそっとしておいてくれたので助かった。
この下校の20分くらい、いままででいちばんの幸せ時間だった気がする。
会話と言えるほどではなかったけれど言葉を交わし、三崎くんがわたしの苗字を知っていてぶつかったことを気にかけてくれた。それだけで十分だと思えるくらいだった。
正門から出て川沿いを歩き、橋を渡ると10分ほどで最寄りの駅につく。その駅はこの辺りでは大きくてショッピングモールも入っている。
その1階にあるマックの前まで来た。
「じゃあ、わたしはここで。
真紀、また明日ね。」
さすがに真紀もこれ以上は引き留めなかった。
昇降口でしたやり取りをもう一度した。春樹くんにまた頭を下げて、今度は前にいるテニス部の男の子たちにも。
みんな気さくで手を振ったりしてくれた。
三崎くんがこっちを見たけど、すぐに目を反らされた。
あぁ、なんか嫌われてるのかな。
鼻の奥がツンとした。涙がでそうだったけど、ぐっとこらえて駅まで急いだ。
最初のコメントを投稿しよう!