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進展
「あれ?真紀どこ行った?」
放課後、春樹くんが後ろの出入口に立っていた。
廊下側のいちばん後ろがわたしの席で、その左斜め前が真紀の席だ。
「あ、えっと、職員室に。数学の課題を出しに行ってます、、るよ。」
ギャーッ
この前真紀やテニス部の男の子たちと帰った時に敬語は止めてって言われたから、なおそうとしたら、「まするよ」って何なんだ。
恥ずかしさで、顔がボンっと紅くなるのがわかった。
「フ、、ハハハッ」
春樹くんが堪えきれず笑いだした。
お腹を抱えて肩を震わせてる。なんか、声出てないし。笑ってるのに声が出てないってなんなの。
むぅぅと困っていると、うしろから声がした。
「春樹、笑いすぎ」
三崎くんだった。
胸がツンとした。嫌われているんだろうな、と思うと辛かった。
一緒に帰った日の次の日は晴れていたけど、ここ数日は雨でランチタイムを音楽室で過ごせないでいた。
だから3日ぶりくらいで三崎くんの姿を見た。
「ごめんごめん。あまりにもかわいくて。さくらちゃんって天然?」
「はるくんっ!さくらで遊ばないで」
真紀が職員室から戻ってきた。
助かった。
それにしても、さくらちゃんって。
びっくりするな。男子に免疫がないので名前呼びでドキっとしてしまう。真紀の彼氏なのに。
「だって真紀がさくらの話ばっかするから、前から知ってる感じでさー」
聞き捨てならないぞ。わたしの話ってなんだ。
「かわいいでしょ、さくら。ね?」
真紀はよりによって三崎くんの前で、春樹くんにそんなことを言った。
「まぁ、真紀とは正反対だけど、かわいいよね」
春樹くんは人タラシなのか。イケメンがさらっとそんなことを言っては多くの女子は勘違いすると思う。
「さくら以外の女子のことをかわいいって言ったらコロスけどね!」
真紀は笑いながら言った。真紀はわたしのことを本当に可愛がってくれる。
「それでどうしたの?部活は」
真紀が本題に戻してくれた。
「あぁ、今日部活中止になった。雨はあがってるけどコート使えないから。陸上部も休みだろ。一緒に帰ろうぜ」
「やったっ」
かわいいな。真紀。
普段は割りとサバサバしているけど、春樹くんとのことになると、纏っている雰囲気が柔らかくなる。
「さくらも、一緒にどう?」
真紀のかわいらしさを見てたら微笑ましくて話を聞いてなかった。
「えーと、何だっけ」
「空想の世界に入ってたな。ま、いいや。
4人でモール寄って帰らないかって話」
や、無理です。
「んーと、、、」
「はい、連行~」
春樹くん、強引です。
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