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就職セミナーに参加。 リクルートスーツを着て、地元の企業が集まった物。 月子にはとても有り難い。 地元企業希望で、それは太陽から離れる気がないからで、二十(はたち)で籍を半ば強引に太陽に頼んで入れたのも離れたくないからで、自分のいない間に太陽が他の人と結婚したりしない様にする為で……月子には本当に太陽が総て。 何社か回る中で、転勤出来ますか?と聞かれる。 支社も多いし地元とはいえ、そこだけに新人を置いておくという企業は多くはない。 当然と言えば当然で少し落ち込む。 今更だけど大学時代の太陽の苦労が分かる。 あの頃は側に居てくれる事が当たり前だと思っていたけれど、どれだけ太陽は自分を犠牲にして月子の側に居たんだろうと思う。 いくつか周り帰ろうとすると、同じ大学の数名が外で集まっていた。 「あ、羽瀬さん!一緒に行かない?」 「お疲れ様、何処に?」 「企業の話しを聞いた情報交換を兼ねて、飲みに行こうって話してたの。お疲れ様会と、これからまた頑張ろう的な?みんな疲れてる頃だから…精神的に…。」 同じ講義を良く取っている彼女は今川梨香と言う。 さっぱりした性格で男女共に人の輪の中にいる人だ。 彼女がいるなら真面目な情報交換の場になると考えて参加する事にした。 (一人で帰ってもまたサークル教室で落ち込む。) そこにさらに落ち込んだ同級生が来ると、また結婚してるからいいじゃない、みたいな空気を醸し出される。 月子は逃げ場にしたくて結婚した訳じゃないし、永久就職と考えた訳でもない。 理解はされないだろうけど、ただずっと太陽と居たかっただけだ。 でも、「結婚している」を突かれると痛い。 余裕があると思われるのが辛かった。
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