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「男性の方がやっぱりしっかりと話しをしてくれるって事?説明に時間をかけてくれたって事でいいのかな?」
今川の突っ込みは鋭く、月子も感心しながら興味深く話しを聞いた。
「どうかな?でも3社ともに他の大学の女学生は一緒の説明を受けたよ?担当者によっても違うと思うけどね?」
「私、2社は凄く短かったの。だから多く回れたんだと思う。」
「え?何処?短かったとこ。」
竹田の隣に座る可愛らしい女の子が今川に聞いた。
竹田の腕を何気なく触っているのを見ると彼女かもしれない。
月子の横にいた女の子もそれぞれにメモと資料を出した。
「ああ、そこ行った!私も短かった!」
「やっぱり女子は最初から取らない方向の企業かな?」
「そうかもね?エントリーするだけ無駄かもね。」
「だけどさ、女子が欲しいってとこもあったよ?あからさまに女子にだけアピールしてた。えっと…ここ、この企業。」
「あぁ〜行かなかった…。残念。」
「私、行った。メモしたから内容教えるよ。」
男女で差があるんだと、少し驚いたりもしたが、案外真面目な情報交換会で有難くもある。
人生を左右する就職。
みんな真面目で追い込まれてる。
(たいちゃんも目の下にクマが出来てた。なかなか決まらなくて、地元を希望しているからだって聞いた覚えがある。多分、転勤はダメだって言うと余計にないんだろうな…。)
申し訳なさが込み上げた。
血の繋がりのない無関係な女の子を引き取り、太陽自身、保護者が必要な身の上で、一人で育児をしてくれていたのだ。
大学卒業を控えて、一人で社会に出て行く大変さを痛感していた。
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