2.二件の詐欺被害

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「えー、あたしかったるいなー」 「いいから出発の準備をしておけ。徳憲くんと一緒に外泊するまたとない機会だ」 「あー、それはちょっと魅力的かも!」  どこがだ。  徳憲としては迷惑千万でしかない。彼の何が彼女に気に入られたのだろう。 「いいか忠岡、お前は科捜研にいつまでも居座って、帰ることをしないだろう? たまには外の空気を吸って来い!」  それが目的かよ。  徳憲は苦笑すら湧かなかった。叶うなら彼女の同伴は御免こうむりたいのだが、徳憲はうまい断り方が思い付かない。 (忠岡さんは扱いづらいけど、頭が切れるのは事実だ……居ないよりは()し……か?)  曖昧な心理学がどこまで役立つかは未知数だが、試してみる価値はあるかも知れない。  徳憲はせいぜい前向きに呑み込むことにした。  苦手な忠岡と、まさかの宮崎行脚(あんぎゃ)が幕を開ける。    *
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