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「えー、あたしかったるいなー」
「いいから出発の準備をしておけ。徳憲くんと一緒に外泊するまたとない機会だ」
「あー、それはちょっと魅力的かも!」
どこがだ。
徳憲としては迷惑千万でしかない。彼の何が彼女に気に入られたのだろう。
「いいか忠岡、お前は科捜研にいつまでも居座って、帰ることをしないだろう? たまには外の空気を吸って来い!」
それが目的かよ。
徳憲は苦笑すら湧かなかった。叶うなら彼女の同伴は御免こうむりたいのだが、徳憲はうまい断り方が思い付かない。
(忠岡さんは扱いづらいけど、頭が切れるのは事実だ……居ないよりは益し……か?)
曖昧な心理学がどこまで役立つかは未知数だが、試してみる価値はあるかも知れない。
徳憲はせいぜい前向きに呑み込むことにした。
苦手な忠岡と、まさかの宮崎行脚が幕を開ける。
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