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4.四つの質問
宅配便の会社はすぐに特定できた。
各配達拠点に集荷所が点在し、配達地域も定められているから判りやすい。ましてや日用品を販売するスーパーが提携しているとなれば、すぐにドライバーを発見できた。
集荷所の受付で事情を話した徳憲は、山添と笑みを交わした。
傍らに突っ立っている忠岡だけが、つまらなそうにスマホをいじっている。
該当するドライバーは配送のため席を外していたが、勤務の終わる夜を待って再訪すると、ちょうどタイムカードを切った本人と裏口で対面できた。
「ドライバーの方ですね? 少しお時間を頂戴してもよろしいですか?」
徳憲が申し出ると、まだ若いドライバーは快く応じてくれた。
後ろに控える忠岡が幼な過ぎて怪訝な視線を向けられたが、最年長である山添の威容がそれを帳消しにした。
「あなたが懸井さん宅を訪れた際、捺印した家人はどのような方でしたか?」
「えっと、懸井さん……ですか? どちらの?」
ドライバーは腕組みして考え込んだ。山添が懸井宅の住所を教えると、ドライバーはスマホの地図アプリを起動して、場所を確認する。
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