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「おし!決めた!俺、立花さんに告白するよ!」
昼下がりの教室。
突然聞かされた学友の決意表明に、俺はあきれ顔になった。
「そうか。まぁ、別に知りたくもないけど一応聞いておいてやるよ。一体何回目の告白をするんだ?」
「まだ8回だ」
まだという表現は平均を大きく下回る時に使う表現だと思うんだがな・・・。
「言っても無駄だろうが、世間一般的にはしつこい男は嫌われると言うぞ」
「それなら心配はいらんぞ!7回断ったのに告白してくる男と8回断ったのに告白してくる男に大差などないからだ!」
ある意味真実だが極論だし暴論だ。
頼むから警察の厄介だけにはなってほしくないものだ。
「そういえば、今回は少し趣向を変えようと思っている。」
「趣向?」
「ああ。思えばこれまでのアプローチはいわば直接的なものばかりだった。放課後の教室に呼び出して告白したり、体育館裏に呼び出して告白したり、時には海に呼び出して告白したこともあった」
めっちゃ呼び出してんじゃん・・・。
「だが、知っての通り結果は全敗だ。海に呼び出した時など来てすらもらえなかったぞ!」
だろうな。ここ内陸の群馬だし。
「だから今回は間接的な方法を取ることに決めたのだ」
「手紙か?」
「さすがだな。察しが良い」
「いいんじゃないの?」
「おお!!お前もそう思うか!?時代はやれツイッターだ!インスタグラムだ!と、表面上の繋がりだけを求める若人の多い中、あえて心のこもったお手紙である通称l♡ve letterを送ろうというわけだ」
Oをハートにするなよ気持ちわりぃなぁ。
「あっそ。まぁ好きにしろよ。上手く行くといいな」
結果は明らかだが、少なくとも話は終わった。
窓から差し込む生暖かい日の光に抗う必要は無くなったのだと、俺は机に突っ伏して寝ようとすると、そうはさせぬものがいた。
「おい。なんで他人事なのだ?文章を書くのはお前だぞ?」
初耳だ。
というか、ラブレターの代筆って発想が人類始まって以来ではなかろうか?
「なぜ、お前の恋路に俺が付き合わなきゃならんのだ?」
「いやいや、俺の国語の成績は知っているだろう?」
「確か全校生徒152人の内、152番目だな」
「ほら見ろ!むっちゃバカじゃん。俺!」
何でこいつ危機感ないの?
バカなの?
あ!
バカだっけ。
「だからさ!俺よりも1個順位が高い151位のお前に書いて欲しいんだよ!」
ま。
おれも人のこと言えないんだけどね
『選ばれたのは、、、お手紙でした』
結局、放課後の貴重な睡眠時間を削ってまで、俺はこいつのラブレターとやらに付き合わされていた。
「なぁなぁ。書き出しって拝啓から入らなくていいの?」
「いつからお前はサラリーマンになったんだ?学生なんだからもっとフランクにいけフランクに」
「あ~。じゃあルーズリーフとかに書いたほうが良いの?」
どこでフランク出してんだよ。
「そこはちゃんとした便せんに書け。100均とかでも売ってるから」
「あー。あの紅白色の帯巻くやつ?」
それだとお前恋は絶対に実らんな。
「説明が面倒だから明日買ってきてやるよ」
「お!まじで?サンキュー!」
再生紙100%でいいな。
どうせ捨てられるし。
「なぁ、文章中に好きっていっぱい書いたほうが良い?」
しらねぇよ。
「わからんけど、ストレートな表現だしいいんじゃねぇの?小細工するよりさ」
「おっけー。いっぱい書いとく」
それからしばらく黙って下書き用の用紙にすらすらと文字を書き始めたかと思えば、できたとばかりに俺に添削を要求してきた。
「どうだ?ばっちりか?」
「んー。良いか悪いかで言えば悪いな。というか好き以外の言葉も書いたほうが良いぞ」
まぁ。なんとなくこうなる気がしていたが、紙面上にはびっしりと好きという文字が描かれ、ちょっとしたホラーが出来上がっていた。
「むずいなぁ。好き以外って言うと大好きとか愛してるとかでいいのか?」
これって俺の教え方が悪いのかね?
「ちがうな。好きな理由を書いたほうが良いって意味だ」
「あ~。なるほど。好きな理由ね」
そういえば、こいつが何で立花を好きになったのか知らないな・・・。
「
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