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しかし、そんな時間がいつまでも続くわけはない。あっという間に、私の卒業の時は来た。
セージに剣術についてアドバイスする中で、「自分の持つ知識を伝える」「後進の者を育てる」ということに興味を持ち、できれば卒業後も剣術学校に残って、講師のようなことがしたい、と思うようになっていた。
無論、そうなれば、セージとまだこれからも一緒に過ごせる、と思った気持ちも否定はしない。
いつしか私は、セージに会うことを楽しみにするだけでなく、ふとした時間にセージのことばかり考えるようになり、それだけでは飽き足らず、自主練習以外でも会いたい、と思うようになっていたのだ。
けれど、そんな下心がいけなかったのか、それとも神様はよっぽど私のことが嫌いなのか、希望する路には進めなかった。
私は上の人達の推薦で、王室が抱える軍隊の中の、とくに「暗躍」と謳われるような仕事が求められる部署に配属されることとなった。
それを伝えたらセージは、
「先輩、すごいじゃないですか」
と、きらきらした目で私を見つめた。私の務めることとなった仕事は、所謂「花形」ではなかったが、腕のある者しか選ばれない部署でもあり、学生達からみれば憧れの的でもあったのだった。
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