娘は悪役令嬢でした

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娘は悪役令嬢でした

「ただいま・・・・・・」 「おぉ、お帰り。随分と早かったじゃないか?」 「お父様こそお早いじゃないですか。いつもこの時間はお城にいらっしゃるのに」 「ついさっき帰って来たが、さっき呼び出しを喰らってまた戻らなければならん」 「それじゃあ、あの事はまだ知らないんですね?」 「あの事? 卒業パーティーで何があったのか?」 「私・・・・・・、王太子様から婚約を破棄されました」 「・・・・・・は?」  娘の報告に私はキョトンとしてしまった。  私は『レオリオ・ガーナード』、『オリオン王国』で宰相をしている。  娘は『エリザ・ガーナード』、今年貴族学院を卒業し王太子妃になるはずだった。 「エリザ、何かやったのか?」 「私は何もしておりません。でも王太子曰く王太子の気に入っている男爵令嬢を苛めたとか・・・・・・」 「・・・・・・それ、浮気を公言してるよな?」 「えぇ、苛めの内容も『ノートを隠した』とか『机に落書きをした』とか『階段から突き飛ばして怪我をさせた』とか・・・・・・」 「物的証拠は?」 「ありません。男爵令嬢の証言だけです」 「完全に言いがかりじゃないか・・・・・・」  私は頭を抱えた。  まさか、王太子がこの様な行為をしてくるとは思っていなかった。 「その男爵令嬢の名前は?」 「『メリッサ・ハリスン』と言ってましたが」  その名前を聞いてピンと来た。 「あぁ、そういう事か・・・・・・」 「どういう事ですか? お父様」 「ハリスン家は『ガリッド』家の一派だ。多分、狙いは私を蹴落とす事だろう」  ガリッド公爵は私を勝手にライバル視してきて何かといちゃもんをつけてくる。  遂に本格的に動いたのか・・・・・・。 「どうしましょうか・・・・・・、私、王太子から王都追放を宣告されました」 「王都追放か・・・・・・、だったら領地に戻れば良いじゃないか」 「あぁ、そうでしたね」 「私も宰相を辞める事にした。二人でのんびりと田舎暮らしでもやろうじゃないか」 「お父様、宰相を辞めるんですか?」 「あぁ、ぶっちゃけブラック過ぎてもう体力の限界なんだ。これも良いきっかけだろう」  何せ、国王一家は浪費家でこちらが何とかやりくりしていたんだがもう限界だ。  国王にとっても口煩い私より言う事を聞く奴の方が使い勝手が良いだろう。 「エリザ、荷物を纏めて先に行っていなさい。私は後処理をした後、合流するから」  娘に指示して私は自室で辞表を書いて城に戻り国王に提出した。  一応、娘の行為を責任をとって辞職する事を言っておいた。  更に国王から『今後、王都に近寄らない事』等の誓約書にサインをさせられ私は城を後にした。  あっさりしていたのは随分と前から計画していたのだろう。  つまり、国王もグルだった、という事だ。  それなら全然構わないし、王族と完全に縁を切られたのは好都合だ。  これからは娘と二人でゆっくりと領地で過ごすとしよう。    
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