BAD POLICE

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BAD POLICE

家に帰るやいなや、バックの中から彼等のプロフィールを探した。 BAD POLICE……。(何てバンド名だ。ふざけてんのか?!) メンバー3人 コアラ:ドラムス 23才 ジュン:ベース、ボーカル、バンマス 23才 ギタ:ギター 23才 (本名が、ねぇ〜!) コメント欄 BAD COMPANYとPOLICEをこよなく愛する3人です。 ダンス系、ヒップ系はぶっ飛ばし、情熱と爆音と勢いで時代を切り拓く。 それがBAD POLICE。 もう時代が求めはじめた……! 連絡先 050-****-**** (BAD COMPANYとか、僕もよく知らないしなあ、でもまぁPOLICEはよく聴いてたけど。) それにしてもボーカルが気になるなぁ。生で聴いてみたいなぁ〜。 演奏も爆音でまとまり無いけどシンプルで良いし、何よりボーカルが良い。 でも、何かが足り無い気もするし。録音状態も良くないし…。 弦楽器……、アンサンブル、打楽器…。 ん〜スタジオに、呼んでみるか。 あ~、そうだ!! 何かひらめいて、そうだ!そうだよ!と思いながら、その夜は寝落ちした。 朝、8時30分。 いつもなら、もう少し遅く迄寝ているのだが、目が覚めてしまった。 どうやら、彼等の事が気になり始めている。デモ曲を聞いてみる。 BAD POLICE。 お湯を沸かしながらコーヒー豆をゆっくりと挽いた。 信一は、この時ほのかに薫る香りと、豆が潰れていく手の感触が好きなのだ。 コーヒーを二口飲むと、おもむろに携帯電話を開いて、番号を入力し始めた。 信一「えーっと、050-****-****って、誰の電話番号? 書いてないけど、多分バンマス、ジュンかな?」 そう思いながらプロフィールにある番号にかけた。 呼び出しているが、中々出ない。 諦めて、切ろうとした時に、かすかな声が聞こえて来た。 慌てて携帯電話を、耳元に戻した。 信一「もしもし。」 相手「・・・。」 信一「もしもし!? あれっ?」 相手「は〜ぃ、どなた?」 信一「あ、寝てたのかな?突然で申し訳ないけど、わたしMU音楽事務所の御手洗と言います。」 相手「・・・事務所を・・・見たらいい? 何ですかそれって。」 信一「イヤイヤ!、MU音楽事務所の御手洗と言いますっす。君は誰でしょうか? あなた方のデモ曲聞きました。」 相手「え! MU音楽事務所の方ですか? ・・・すみませんが、キャンドゥ音楽さんでは?」 信一「いえ!キャンドゥでは無く、MUですが!」 ムッっとなった。このキャンドゥ音楽事務所は、あのハグソウルと契約し、しかもあの野口和夫がいる音楽事務所だ。 信一「あ〜ぁ!出し間違えた?って事ですか!では残念ですが、破棄しときますっす!!」 相手「いえいえいえいえ!そうではないんです! すみません。違います!手違いです!」 結局、こう言う事だった。 本命の事務所はMUだったが、その前に評価を得る為に、キャンドゥに送り、再度曲を整えてMUに送る予定だった、しかしメンバーが勘違いしていきなりMU事務所に出してしまったんじゃないか!と。 信一「じゃあ、うちに出す予定だったのは間違い無い。そういう事で良いのかな?」 相手「ハイ!その通りで間違いありません。」 信一「ちなみに、君はジュン君で間違い無いの?バンマスの?」 ジュン「ハイ!その通りで間違いありません。」 信一「分かりました。じゃあ、一度うちのスタジオで演ってみない?  出来れば早いほうが良いんだけど、どうだろうか?」 ジュン「え!MUさんのスタジオで演奏出来るんですか?!  願ってもない事です!直ぐにメンバーと打合せて連絡します。」 信一「出来れば2日後の午後に来てくれると有難い。」 ジュン「分かりました。それですみませんが、先程は寝ぼけていて、お名前を聞きそびれてしまったようで。」 信一「うん、見たらいい。じゃ無く、み・た・ら・いです。プロデューサーやってます。電話番号は見えてると思うので。じゃ宜しく。」 ジュン「うぅ………宜しくお願いします。」蚊の泣くような声だった。 その日会社には、午前10時半を過ぎた頃に着いた。 事務所のデスクには、10個程の包みが置いてあった。 PCを立ち上げて確認すると、20件程の応募があった。 応募締切は、明日が最終日である。 応募小包を丁寧に解いていると、 携帯電話が鳴った。ジュンからだ。 慌ててメンバーに知らせて確認したのだろう、2日後の14時に行けるとの事だった。 ジュンには、事務所の場所の確認と、受付で自分との面会を分かるようにしておくと伝えた。 信一は、久し振りに胸のトキメキを感じた。 ひょっとしたらあれ以来かもしれない! 5年前韓国で、ハグソウルとの3日間。忘れていた感情だ。 しかし、悠長に過す暇はない。 信一は明日の締切り迄は、全ての応募を整理しておきたかった。 明後日には、彼等のライブ演奏が聞けると思うと、仕事もはかどった。 昨夜浮かんだアイデアが何だったのか、頭の片隅で火種の様にくすぶってはいたものの思い出せずにいた。
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