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『此方風です。お嬢様、レイル様、聞こえますか?』
「此方レイル。如何したの、お風ちゃん?」
セドリックの上の三人に風からの無線が入る。
『車の方へは火災旋風は行きません。早めに廃屋と車内の確保を。火災旋風はあの二人を狙うようにしています』
「了解ありがとう、お風ちゃん」
レイルは直ぐに
「防護課の一班と二班、地域課は車の方へ。三班と四班、車両の交通課は小屋の方へ向かって。現金の回収と犯人確保、他に人質がいないかを確認して。プラネット隊はそのまま上空待機」
指示を飛ばすと各班から了解と言う言葉が返ってきた。
小屋の方に交通課のマローダー、ホーネットが向かい、DAF44の方には防護課の一班と二班を乗せたTV14、グロリア、2200TCが向かう。
小屋の方へ向かった面々からすぐに内部の状況が伝えられた
「隊長――」
どうやらチヤ子たちすべてのお金を回収できていないのか、それともそれ以前からのお金なのだろうか、彼女達が漁ったところ以外からも金塊やウーマンシティ以外で流通している銀行の各種小切手、更には宝石の類が出てきた。
一方のチヤ子たち。
「わ、ワーは逃げるわよ!」
「こ……こないなところで死ねんよ!」
チヤ子も喜利子もボロボロになりながらも川に逃げようとする。だが二人、すでに逃げる宛もない。そして、何よりも彼女たちは異常に足が遅い。
次第に彼女たちの横にチリチリと、じわじわと、そしてメラメラとした熱気が迫ってきた。
熱気が迫ってきた左側を見ると、巨大な火災旋風が、その奥では他の火災旋風が川に入って出来た巨大な湯気があった。
そして熱気と同時に自分たちが火災旋風へ吸い込まれていくのが分かった。
迫りくる熱気と地に足がつかなくなる状態に声にならない恐怖が二人を襲い、そして火災旋風へ吸い込まれて行った。
二人の声が出たのは完全に体が浮き上がり、土手と同じ高さになった頃だった。
「すごーい。千椛、見た?」
ソニアは指さし、驚き過ぎて声が嬉々していた。
「ホント、これはとんでもない新入りね」
スカイラインによしかかり、淡々としている千椛。
火災旋風は二人を胴上げするように舞い上げては落とし、こんがりと、そしてじっくりと嬲った。
その間に破壊されたDAF44に群がっていたベレー組が
「中に知切信貴菜がいました!意識失ってるのか、何の反応もありません!それと不発の爆弾もあります!」
と大声で二人にむけて叫んで報告した。同様の内容は他の隊員がレイル達に無線でも知らせた。
ソニアは了解と手を振ってこたえた。
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