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一方のスカイラインとDAF44は河川敷を互いにぶつけ合いながら北へ駆けていく。
同時にDAF44のルーフをソニアは悪態を叫びながらバンドックでこれでもかと殴り続けた。M字だったルーフは全体的に凸凹になり、A、B、Cの各ピラーもひん曲がり、ガラスというガラスはすべて粉々になり、車高も縮んでいく。それと同時にバンドックの刃も相まって穴も増えていく。
そこに黒い影が一瞬空を覆って通り過ぎていく。そして、目の前に土煙をあげて着地した。
「よっしゃセドリック!」
ソニアが殴るのをやめて歓喜の声を上げる。
その下ではチヤ子と喜利子が巨大ぬいぐるみの再度の出現に声も出ず驚いていた。回避に幾度と成功したとはいえ、
「ソニア、戻って!」
スピーカーで叫んだ千椛はスカイラインの側面をDAF44に激しくぶつけて横付けする。
「一寸アンタ!」
その衝撃でよろめいたソニアは悪態をもう一度ついてスカイラインのルーフに移った。
移った時に後ろの異変に気付く。
「なんじゃありゃ!?」
巨大な火災旋風五つが天高く伸びきっていた。
「千椛、千椛!後ろがすごい!!」
「何がすごいの、ソニア!?」
ハンドルを右に切ってDAF44から一気に離れる千椛にソニアは興奮気味に助手席窓から車内を覗いて叫んだ。
千椛が呆れ気味に室内バックミラーを確認する。それはソニアが見た光景と一緒の赤々と燃え滾る巨大な火災旋風だった。思わず息をのむ。
そこに
『此方レイル。二人ともよくやったわ。あとはこっちに任せて』
と通信が入る。すぐに千椛はスカイラインを堤防の頂上と向かわせた。
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