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第2話
【俺は伊集院家の三代を彼女にしてる】
『大奥様』の賀奈子はスタイルが良い。
ジムに通って身体を鍛えていて肌の艶も良い。
とても巷(ちまた)の56才には見えなかった。
「さあ…どうぞ お座りになって…。」
賀奈子の立ち居振舞いは美しかった。
「こんな格好でご免なさいね…。」
賀奈子はスポーツをして汗を かいたのだろう…
シャワーを浴びてバスローブを羽織った姿だった。
「お名前は…何と言うの…?」
賀奈子は、わざとらしく倫太郎に向けて脚を組み直した。
形の良い賀奈子の脚は倫太郎の気持ちを高ぶらせた。
「はい、玉木倫太郎と言います。 親は小岩井町で『たまき』という料亭をやってます。」
「ああ…お魚が美味しい店ね。 よく行くのよ、お友達と一緒にね。」
賀奈子は胸騒ぎを覚えながら賭けに出た。
倫太郎の隣に寄り添うように座ってみたのだ。
「こんな年増じゃ…おイヤかしら…?」
賀奈子は少し上目遣いに倫太郎を見た。
「僕は両親が店で忙しい中で育ったので…
母親と手を握った記憶も殆ど無いんです。
だから…女性に免疫が無くて…。」
倫太郎は、そう言いながら同意するように…
賀奈子の手に自分の手を添えた。
「キスは……?」
「いえ…まだ……。」
賀奈子は倫太郎に唇を重ね…
バスローブの襟元から倫太郎の手を自分の胸に誘った…。
倫太郎は30分くらいベッドで賀奈子と戯れた後にベッドを降りた。
「美奈子が いない時でも来ると良いわ。
美味しいケーキを用意しておくわ。
食べ方も教えてあげるから…。」
賀奈子は意味深な言い方をした。
『大奥様』の賀奈子に『お墨付き』を貰ったので、倫太郎は、『お嬢様』の美奈子と一緒で無い時も伊集院家へ時々足を運んだ。
倫太郎が フラッと伊集院家へ立ち寄ると…
美奈子も『大奥様』の賀奈子も不在で、
『奥様』の奈々子が迎えてくれた。
「倫太郎さんは何がお好きなの…?」
お菓子の皿を差し出した時に、
倫太郎はフィンガータイプのクッキーだと思って…
誤って奈々子の指を摘まんでしまった。
「ごめんなさい…。」
そう言う倫太郎に奈々子は…
「倫太郎さんが私を選んでくれて嬉しかったわ。」
冗談とも本気とも取れる奈々子の言葉だった。
倫太郎の横に添うように座る奈々子の身体は…
明らかに賀奈子より若々しかった。
『お嬢様』の美奈子の話では、奈々子は結婚5年目で夫に先立たれ…
何度か再婚の話もあったらしいが…
多くの男達は伊集院家の家柄に恐れをなして
今のところ名乗りを上げる者はいないらしい。
「こちらへ いらっしゃい…。」
通された部屋は奈々子の寝室のようだった。
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