第1話

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第1話

【俺は伊集院家の三代を彼女にしてる】 俺の名前は玉木倫太郎……。 倫理の倫の字を付けられているのに… やっている事は…倫理に反する…。 俺の彼女は3人いる…。 それだけでも咎(とが)められそうなのに… その3人は母子、そして祖母になる。 彼女達は…伊集院家の女系当主にあたる。 伊集院家には『しきたり』があって… 何か良いモノを戴いた場合には、まず当主である『大(おお)奥様』が味見をする。(食べ物の場合は使用人が毒味をする事もあるが) そして、次に第2当主である『奥様』が戴く。 その後に第3当主である『お嬢様』が戴く事が出来るのだ。 ……………………………… 俺と伊集院家の当主達との出逢いは こうである。 伊集院家のお嬢様とはクラスメートで… なんとなく気が合って… お互いの家を行き来するようになった。 それで、まだ『お嬢様』と恋仲に成る前に 『奥様』と『大奥様』に見初められた のである。 『大奥様』は… まだ56才、早くに夫に先立たれて、女の悦びを知らずに来たと言っても過言では無い。 『大奥様』の名前は『賀奈子』。 伊集院家で初めて俺(玉木倫太郎)を見て… 賀奈子は電流が走ったと感じていた。 後で「先代の浩一郎さんに そっくり だったのよ」 と言っていたらしい。 「倫太郎さん…伊集院家の当主の『大奥様』がお呼びですよ。」 美奈子(『お嬢様』)のお母さん(『奥様』)の奈々子は そう言った。 伊集院家に出入りする者なら… その当主にお目通りをするのは『しきたり』らしい。
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