メランコリックラバー ~「背中合わせで恋をする」番外編2~

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「はや……と……」  切れ切れに名前を呼ぶと、隼人がやっと唇を離す。 「仕事中……ですよ?」 「ごめん。ちょっと我慢がきかなくなって。最近ずっと忙しかったし、琴莉はずっと僕の親に捕まってたしさ。琴莉は気を遣わなくていいって言っても遣っちゃうし、疲れてるだろうと思って耐えてたんだけど……」  そう言って眉尻を下げる隼人が、何だか少し可愛く見えた。  隼人の両親に会ってからというもの、何かの折には声をかけられることが多くなり、よほどのことがない限りはそれに応じていた。  いくら気を遣わなくてもいいと言われたからといって、すぐにそうできるものではない。  二人は琴莉を本当の娘のように可愛がってくれている。それでも、すぐに慣れろというのは無理な話だ。  そんな琴莉をちゃんとわかって、隼人は自分を抑えていた。  琴莉の顔に、自然と笑みが浮かぶ。 「大丈夫……。私もこうしてると、すごくホッとするから」  身体の力を抜き、身を委ねていると、急に足が床から離れた。 「きゃっ!?」 「そういう可愛いこと言われると、煽られてるのかと思うよね」  耳元で囁かれ、背中がゾクリと粟立つ。  琴莉は焦って弁解を始めた。 「煽ってませんっ!」 「無自覚か。そういうの、一番困る」 「今から打ち合わせがあるのに!」 「まだ時間があるよ」 「少しですよ!?」 「大丈夫だよ。その分、夜はめいいっぱい時間をかけるから」 「え……」
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