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そうこうしている間に、琴莉の身体はベッドに横たえられる。
隼人は琴莉の頬に手を添え、顔を近づける。琴莉の心臓は今にも飛び出しそうなほどに大きく脈打っていた。
もう何度もそうしているはずなのに、いまだにこんなにドキドキするなんて。
琴莉は頬を染めて顔を背けようとした。しかし、それは呆気なく阻止される。
「ダーメ。ちゃんと顔見せて」
「……無理」
「無理じゃない」
笑みを含んだ声で艶っぽく囁かれると、益々体温が上がる。
「ほんと、可愛すぎて困る」
吐息でそう呟くと、再び唇を重ねる。触れた瞬間、琴莉の身体が微かに震えた。その反応に、隼人の表情がこれ以上ないほどに緩む。
「ごめん。もう……我慢できない」
切なげなその声に、琴莉はうっすらと目を開けた。
「隼人……」
返事をする代わりに、琴莉はそっと腕を伸ばして隼人を抱える。
隼人はその腕を取り、琴莉の左手薬指にはめられたリングの少し上に、唇を寄せた。
「絶対に誰にも渡さない。琴莉は……僕だけのものだ」
彩に触発されてしまったのだろうか。これまでになく独占欲を見せる隼人に、琴莉は幸せそうな笑みを浮かべる。
心配なんて必要ないのに。
しかし、そんな風に想われることに、どうしようもないほどの幸せを感じる。
琴莉は隼人を見つめながら、小さく囁いた。
「私も……隼人を誰にも渡しません」
隼人は本当に嬉しそうに笑うと、次の瞬間には箍が外れたように、夢中で琴莉を求めた。
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