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「やだ、ごめんなさい! ご挨拶が遅くなりました。私、『KIRISHIMA』関西支社、営業部副部長の桐島彩と申します」
無駄のない動きでスッと差し出される名刺に、琴莉も大慌てで自分の名刺を取り出す。
「す、すみません、こちらこそご挨拶が遅くなりました! 販売部販売企画課の蔵本琴莉です。よろしくお願いします!」
名刺交換をし、琴莉がペコリと頭を下げると、彩は再びぎゅっと琴莉に抱きついてきた。
「ひゃっ!」
「いつも隼人のお世話をありがとう! それにしても、こーんな可愛い妹ができるなんて、本当に嬉しいっ!」
「いや、あの、あのっ」
「姉さん!」
「うるさいなぁ、隼人は。父さんと母さんから散々自慢された身としては、早く琴莉ちゃんに会いたいってジリジリしてたんだからね!」
「じ……自慢?」
琴莉の声に反応し、彩は顔を覗き込んでくる。あまりの美しさにクラクラする。彩は隼人の姉というだけあり、二人は似ている。そのせいもあってか、琴莉の心臓は先ほどからバクバクとうるさく、息苦しいほどだった。
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