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「私、気に入ってもらえたみたい……?」
尋ねると、隼人はげっそりとしながらも微かに笑みを浮かべる。
「思った以上にね。琴莉を気に入るとは思ってたけど、あそこまで凄まじいとは思わなかった」
しかしそれは、両親の隼人への愛情ともいえる。
これまで、彼女はいても結婚したいと思える相手がいなかった。恋愛よりも仕事を最優先にする息子に対し、両親は密かに心配していたのだろう。
そして、やっとそういう相手に巡りあえた。これまで仕事を優先するような隼人が、初めて彼女を優先したいと思ったのだ。だから、絶対に間違いはない。それは絶大な信頼だった。
「隼人の目に狂いはなかったわ。琴莉さんみたいな人が隼人の傍にいてくれるのなら、とっても安心」
隼人の母・恵と二人で買い物に出かけた時に、そう言われた。
琴莉が桐島の家を訪れたことを、本当に喜んでいるのが伝わってきて、胸がジンと熱くなった。
父・隼輔にも、二人でいる時にこっそり言われた。
「琴莉さんと出会えて隼人はラッキーだ。何よりも優先したいと思えるほど大切な相手がいるというのは、仕事にもいい影響を与える。あの子をよろしく頼むよ」
こんな両親にありったけの愛情を注がれて育ったのだ。隼人が周りから愛される理由がしみじみとよくわかった。
そして、そんな二人に気に入ってもらうことができ、琴莉は心底ホッとしたのだった。
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