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直SETSU
次の日 学校で 一日中 冬香を想う
授業中は ただ座っているだけ
何一つ学習する気力がなかった
こんなことでは 長続きしない
なんとかしなくちゃいけない
どうすればいいだろう
放課後 真っ直ぐに『黒薔薇』に向かう
ピアノは聞こえないが 階段を上る
冬香はソファーに腰掛け
ボーっとしている
「ねえ、相談に乗って」
と 私は声をかける
「僕が?美月の相談に?答えられるだろうか?」
「私 この頃 あなたのことばかり考えてる」
「僕も同じだ」
「でも そんなことじゃ お互いダメになってしまう」
「そうかもしれない」
「どうすれば きちんと自分の生活をして・・・」
「僕を 忘れられるか? という相談?」
「違う」
私は冬香の隣に腰掛けて
何気なく彼に寄りかかった
「どうすれば 二人はきちんとできるか」
「きちんとできるか?」
「私は勉強を頑張って 冬香は仕事を頑張る」
「僕の仕事・・・何か知らないだろう?」
「知らないけど 仕事してるんでしょう?」
「まあ・・・」
「何でもいい 二人とも しっかり生きたい」
「二人とも・・・美月と僕のこと?」
「そう・・・冬香と私 二人とも しっかり生きたい」
「どうして そんな言い方するんだ 二人がまるで・・・」
「二人がまるで? 何?」
「二人がまるで いっしょに生きてるみたいな言い方」
「いっしょに生きてないの? 私のこと 嫌い?」
「好きだよ 美月は僕が好きなの?」
「きっと好き だって一日中 冬香のこと考えてる」
彼は私を抱きしめた
「美月は高校生だろう?僕は29歳だ ムリだよ」
「ムリって?何が?」
「これ以上 二人がどんどん好きになっても・・・」
「どんどん好きになっても・・・何?」
「悲しい別れが待っているだけだ」
「悲しい別れ? 冬香は私を愛せそうもないの?」
「そんな訳ないだろ・・・もう 愛してるよ」
私は彼の葛藤を理解できなかった
「私は愛とか恋とか・・・わからない まだ」
「わからなくていい・・・わからない方がいい」
「だから 悲しい別れ の意味が わからない」
「僕は美月に 何もしてあげられない」
「こんなにドキドキさせてくれているのに?」
「僕にドキドキするの?」
「うん」
私は彼の頬にキッスした
彼は私の唇を奪い
舌で強引に唇をこじ開け
強姦的に私の口の中に舌を押し込み
私の体をソファーに押し倒した
私は少し怖かったけど
それ以上に期待があった
されるままに 彼を受け入れたいと思った
長い長いディープなキッスは続き
気がつくと 彼は固くなったアソコを
私の太ももに押し付けていた
「僕は美月に ひどいことをするよ」
「ひどいことって どんなこと?」
「こんなキス 気持ち悪くないのか?」
「気持ちいいわ」
「じゃ こんなことは?」
彼は制服の上から乳房を揉んだ
「ちょっと待って」
私は彼に押し倒されたまま 制服を脱いだ
制服が皺になったり破れたり汚れたりすると
いろいろ面倒だと思ったからだ
冬香は私のタンクトップをめくり上げ
「ブラジャー はずしてもいい?」
と 耳元に息を吹きかけるようにささやく
「いいわ 冬香が そうしたいなら」
彼は私のブラジャーをはずし
そっと両手で乳房を覆う
二つの乳房が
彼の温かい手のひらに包まれると
もう 私の心臓は
馬が走るみたいにバクバク響く
彼は私の左の乳首にキッスして
チュッと吸った
右の乳首も同じようにした
ああ もう戻れない もうガマンできない
体の全神経が 乳首に集まって来る
吸われた乳首から 体中に何かが広がる
冬香は もう少し強く長く 乳首を吸った
彼の唇から ギラギラしたトキメキが広がる
彼の唇から 焼けるような熱気が伝わる
彼の唇は 私の迷いを 吸い上げる
「こんなヒドイことされて 怖くないのか?」
冬香は 両手で私の乳房を揉みながら
少し低い かすれた声で聞いた
「冬香は怖いの?」
「僕は怖い・・・自分で自分が怖い」
「私 もっとトキメキたい 怖くないわ」
「最後が悲しい別れでも?」
「私 別れない だから 悲しくないわ」
私は冬香の髪を撫でた
私たちは 再び長い深いキスを交わした
キスで 二人は想いを絡め合う
キスで 二人の身体が溶けて流れ出す
キスで 二人は音楽になってしまう
恋のレッスンに
時間はいくらあっても足りない
愛撫を終え 私は冬香に
ベートーヴェンの『熱情』をせがんだ
ピアノの音色は
さらに脳細胞をバラバラにした
完成したジグソーパズルが
バラバラになるみたいに
私の中の
たどたどしい既成概念みたいなものは
バラバラになって
私は荒い息が治まらなかった
「二人が きちんと生きるために・・・」
と 帰りがけに冬香は言った
「その答 責任持って 考えてみる」
冬香の その言葉はなぜか嬉しく力強く
今夜はちゃんと勉強しよう と思いながら
すがすがしい前向きな気持ちで
家に帰った
私は2~3日ボーッとしていた分の
勉強の遅れをしっかり取り戻し
さらに予習までできた
冬香の『責任持って考えてみる』
という言葉は
私の不安定な心を大きな力で抱きしめた
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