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直子は、山田さんの父親とまだ話したい気もしましたが、もうこれ以上関わると、老人を悲しませるだろうと墓地を後にしました。
それから毎年、直子は山田さんのお墓を訪れ、懐かしい昔を思いだしました。
直子が、はじめて勇気を出して自分からアプローチした人。
プラトニックだったけど、心から愛していた人。
初めて、この人とだったらエッチしてもいいと思った人。
いつまで一緒にいても、なにも話さなくても、全然苦にならなかった人。
いつまでも忘れられなかった人。
そんな山田さんがいてくれて、直子の人生は少しだけ煌めいたものになりました。
山田さん、今までありがとう。
安らかに眠ってください。
辛いときはまた思い出すけど、私を慰めてください。
私が年取ってあの世に行ったらまたあいましょう。
この世で一緒に過ごせなかった時間を語り合いましょう。
迷惑だって逃げちゃうかもしれないけど、たぶん私あの時より楽しい人になってるから。
そう直子は思っています。
【終わり】
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