あの頃の君は今…

4/4
前へ
/4ページ
次へ
直子は、山田さんの父親とまだ話したい気もしましたが、もうこれ以上関わると、老人を悲しませるだろうと墓地を後にしました。 それから毎年、直子は山田さんのお墓を訪れ、懐かしい昔を思いだしました。 直子が、はじめて勇気を出して自分からアプローチした人。 プラトニックだったけど、心から愛していた人。 初めて、この人とだったらエッチしてもいいと思った人。 いつまで一緒にいても、なにも話さなくても、全然苦にならなかった人。 いつまでも忘れられなかった人。 そんな山田さんがいてくれて、直子の人生は少しだけ煌めいたものになりました。 山田さん、今までありがとう。 安らかに眠ってください。 辛いときはまた思い出すけど、私を慰めてください。 私が年取ってあの世に行ったらまたあいましょう。 この世で一緒に過ごせなかった時間を語り合いましょう。 迷惑だって逃げちゃうかもしれないけど、たぶん私あの時より楽しい人になってるから。 そう直子は思っています。 【終わり】
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加