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司法省職員の俺は三年間、この“きょうせい星”で刑務官をすることになり、単身で赴任したのだ。受刑者のため、社会のため、家族のため、と自分に言い聞かせている。
朝、自宅のハッチから一歩外に出れば、空気ボンベを背負って、顔全体をマスクで覆うわずらわしさ。晴れの夜でも、満月の輪郭さえ霞む、あの淀みきった地球の夜空が懐かしい。
公園でデートをしても、季節にかかわらず、長袖、長ズボンだ。余程肌が丈夫な体質でないと、すぐに、かぶれを起こしてしまう。
半ズボン、スカート、半袖は、地球では屋内用だ。ネット通販で地球から買っても、メーカーさんも必ず、“屋外で着ないでください”との、注意書きを目立つ位置に書いてある。
赴任して、やっと二年たった。刑期満了近くの受刑者から話を聞く度、羨ましくなってしまう。二人とは、笑顔で別れた。
日常の静寂が戻る。俺は月明かりを背中に受けながら、駐在所内に早足で引き上げる。(完)
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